2005年10月29日

Hello Messengerはコケる

先日、auが冬商戦向けの新機種とともに、新サービス「Hello Messenger」を発表した。

Hello Messengerについて詳しくはこちらを参考にしてもらいたいが、簡単に説明するとこれは、音声やテキスト(文字)、画像を使ってリアルタイムで多人数で同時にコミュニケーションを行えるというサービスだ。

音声(PTT)…トランシーバーのように常に一方通行の状態で、交代で話す。最大5人までに声を届けることが可能。
テキスト…リアルタイムで文字を入力してコミュニケーション。いわゆるチャット。
画像…チャットに画像を添付して、メンバーに画像を見せることができる。


参考までに、auの発表に先駆けてNTTドコモがこれと同じシステムを用いた「プッシュトーク」というサービスをリリースしているが、ドコモの場合は、コミュニケーションの手段が音声のみであり、auのHello Messengerとはアプローチが大きく異なっている。

で、今回のこのHello Messenger、私はものすごく疑問を感じた。何がそんなに気になったのか?とりあえずそのポイントを挙げてみる。

・デザイナーを起用した親しみやすいインターフェイス
・今後発表される端末では基本的に標準機能となる予定
・音声通話は2秒で1.05円(2006年4月30日まではキャンペーンで、20秒で1.05円)
・音声通話を行なう場合は、トランシーバーのように発話ボタンを押しながら話す
・相手側のプレゼンスなどは確認できない
・ターゲットは、女子高生を中心とした頻繁にメールを利用するユーザーと、母親とその家族


順に見ていこう。


・デザイナーを起用した親しみやすいインターフェイス

Hello Messenger起動時はアニマル系のキャラクターが表示され、そのキャラクターを自分や他のメンバーの分身として当てはめてコミュニケーションをすることになるのだが、そのキャラクターデザインが、悪いとは言わないがどうも女や子供向けという印象。しかも、それがデフォルト。逃れられない。こういったインターフェイスはもっとユニバーサルな感じでいいのに、無難なキャラとか、アイコンっぽいマークとかに変更するといったようなことは一切できない。したがって、いい年をしたサラリーマンも、体育会系バリバリの男子学生も、この機能を使う場合はヤギさんとかゾウさんとかのメルヘンチックなキャラを使わなければならないのだ。


・今後発表される端末では基本的に標準機能となる予定

こんな機能絶対使わね〜!と思っていても、機種変更をするといつかはHello Messenger搭載機に当たってしまうという恐ろしい必然。こんなものを標準機能にするくらいならATOKを標準にしたり、バッテリーの持ちを良くしてくれた方が、よっぽど万人のためだろう。


・音声通話は2秒で1.05円(2006年4月30日まではキャンペーンで、20秒で1.05円)

Hello Messengerを使おうと思えば、自分と相手の、最低二人は対応機種を持っていないといけないが、キャンペーン期間は約半年間(Hello Messengerの開始予定が11月下旬)となっている。その半年の間に自分の周りのどれだけの人間が機種変更をするというのか。しかも、キャンペーン終了後も標準価格は時間課金による完全な従量制。ドコモのように定額プランなどはない。そして、高い。このサービスにおける音声通話というのは、トランシーバーのように常に片側が話し、それを相手が黙って聞くというスタイルになり、課金対象は常に話す側。聞き手には一切料金はかからない。ある意味では非常に合理的なスタイルではある。が、通信の性質上、Hello Messengerにおける通話品質は通常の音声通話(電話)より劣るようだ。それなのに、2秒で1.05円。1分あたり31.5円。電話で要点だけ伝えたほうが相手を選ばず、早く、安く、そして簡単に済みそうだ。


・音声通話を行なう場合は、トランシーバーのように発話ボタンを押しながら話す

で、これ。ボタンを押しながら話すという点は特に問題はない。ただ、ドコモの場合は本体のサイドに専用のボタンを設けるらしく、わりと自然な感じでボタンをプッシュしながら話せそうなのに対し、auはあくまで通常の発話ボタンを押しながら話すということになる。しかし発話ボタンの周りにはテンキーやソフトキーやクリアキーがごちゃごちゃある。あまりユーザーの立場に立って設計されているとは言い難く、押し間違える可能性は大。


・相手側のプレゼンスなどは確認できない

通常、Messengerと名のつくものにはたいていプレゼンスを表示する機能がある。プレゼンスというのは、「休憩中」とか、「退席中」とか、そういう「今、自分がどういう状況にいるか」を表示する機能のことだ。これがあれば相手に呼びかける前にある程度の配慮をすることができるのだが、Hello Messengerにはそれがない。これは結構痛い。ツーカーがやっているメッセンジャーサービスやドコモのプッシュトークでさえプレゼンス機能はあるというのに、auはユーザビリティを無視しているように思える。


・ターゲットは、女子高生を中心とした頻繁にメールを利用するユーザーと、母親とその家族

KDDIの社員が公言していた話だ。先述のアニマルキャラにしても、まあ、私のようなオッサンどもはすっこんでなさいということか。しかし全機種標準搭載予定。どういうつもりかよくわからない。もしターゲットの女子高生にソッポを向かれたらどう始末するつもりなのだろうか。
ちなみにドコモの場合はビジネスユーザーをターゲットに入れている。この手のトランシーバー型の通話サービス(PTT)はアメリカなど海外のビジネスシーンにおいて概ね好評であるということを参考にしたのだろう。もちろん環境や土壌は違うが、ある程度の実績はあると踏んだようだ。


最後に、今までほとんどヒットしなかった(と思われる)携帯電話のチャット系サービスを紹介しよう。

「ホットライン」
ボーダフォン(旧Jフォン)とツーカーがやっている、1対1でチャットっぽいことができるサービス。今から7年くらい前から存在していた。最盛期はほとんど全機種に搭載されていたが、私は3回ぐらいしか使った覚えがない。今もボーダフォンやツーカーで存在するのかは知らない。

「ツーカーメッセンジャー」
ツーカーが2002年ごろからやっているメッセンジャーサービス。小規模キャリアでありながら最大10人という末恐ろしい人数でチャットが可能。複数でチャット中でも特定の1人にだけメッセージを送る「ナイショモード」があるのがなかなか憎い。しかも他社携帯ともやり合える懐の広さ。さらにプレゼンス表示機能もあり、デスクトップに最大5人配置できる。ただし1更新・1通信2円。

「おしゃべりモード」
auが2001年ごろからやっている。Cメールのシステムを用いた1対1でのコミュニケーションとなるが、通常1送信3円(学割は1送信1.5円)、受信は無料。家族間では送受信無料という無敵っぷりだったはずだが、「利用者が少ない」という理由でいつの間にか端末から機能が削り取られ、全くもって存在しなかったことにされてしまった悲運なサービス。1度使ったことがあるが、少しでも文字入力にモタついていると容赦なく強制切断されてしまうという非情さに閉口した。

「Team Factory」
これまたauがやっている。特定の仲間のプレゼンスを確認したり、GPSで居場所を教えたり、画像・メール・掲示板でコミュニケーションができるアプリ。チャットはできない。アバターも使えるが、下手にパワーアップさせようとすると月額料金を取られる。私も挑戦しようとしたことがあるが、チームの登録作業を終えた時点で面倒くさくなって、結局使うことなく終わった。

「チャットメール」
ドコモがやっている最大10人でチャットができるサービス。詳しいことはよくわからない。ドコモは、auのように何もPTTサービスにチャット機能を付けなくともこのチャットメールを使えば機能的な補完は可能だというスタンス。



ドコモのチャットメールはメジャーなのかよく知らないが、これまで様々なキャリアで、携帯電話によるチャット的なサービスが生まれては、いつの間にやら淘汰されてきた。音声通話部門はともかく、決して恵まれなかったといえるようなこれだけのサービスを今更持ち上げだして、一体何を企んでいるというのだろうか。やはりこういったサービス展開には少々首を傾げざるを得ない。


上のほうに挙げた私的な感情的批判を無視したとしても、そもそも携帯電話を使ってのチャットというのは「電話があるんだから電話した方が早い」とか、「リアルタイムで携帯電話の文字入力はしんどい」とか、「要点をまとめてメールしたほうが合理的」とか、「それほど暇じゃない」とか、「操作がややこしそう」とか、きりがないくらい弊害があって、その普及についてはかなりの無理があるように思えてならない。

もちろん様々なメリットも含んではいるのだが、私はこういったトホホ満載のサービスが使いたくて毎月高い通話料金や基本料金を払っているわけではないのだ。

もうホントに、今回ばかりはキャリア変更を本気で考えたというわけで、今回の説教を終わる。


【関連リンク】
au携帯電話の新機種の発売と「EZテレビ」の「ワンセグ」対応及び新サービス「Hello Messenger」の提供について by KDDIニュースリリース

文字や画像、音声サービスをまとめて使える「Hello Messenger」 by ケータイwatch

「Hello Messenger」のターゲットは女子高生 by ケータイwatch

「PTTと言われるのが一番イヤ」──au、Hello Messenger by ITmedia +D mobile

auの「Hello Messenger」 by ケータイAlternative

au の Hello Messenger って、ド高いんですよ!? by ウィルコムな人の話し方
posted by aasa at 01:08| 大阪 ☁| Comment(3) | TrackBack(1) | 移動体通信系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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<a href= http://en.wikipedia.org/wiki/Battle_of_Kursk >Battle of Kursk - Wikipedia</a>
http://www.tustinchevrolet.com/

はコケる
Posted by Napoleon Herring at 2007年12月16日 09:28
ご紹介させていただきました
Posted by 無料 at 2008年01月24日 00:37
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病院内でどこでも通話可能なPHS!
Excerpt: 初めまして!ナースマンと申します。 今回病院内の携帯電話使用に関する記事を書きました。 興味があったら是非見に来てください(^^)
Weblog: ナースマンの病棟日誌
Tracked: 2005-10-29 13:36


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