2005年09月19日

冒険しようや(南紀白浜篇)6

≪前回はこちら≫

「折鶴からアイスピック」


チェックアウトを済ませると、私は宿の最寄りの古賀浦というバス停から街の中心部へと向かった。着いた先は白浜バスセンターだ。バスセンターのところには野外モスバーガーがあった。朝から何も食べていないのでついつい心惹かれそうになったが、あいにくの満席だった。しかも席に座っているのはほとんどが若い女で、化粧をしたり、お喋りをしたりで当分席が空きそうにない。

そういうわけで私は「せっかく冒険に来たのにチェーン展開のモスバーガーというのもセンスに欠けるな」と負け惜しみ満点でビーチのほう(白良浜)へとテクテク歩き始めた。

ビーチの近くなら、海水浴客見込みで飯を食べられる所があるだろうと思ったのだ。道中で何軒か見定めて、そのうちの一軒に入ることにした。二階建てで、客席は全てオープンという開放感満載の、いかにもビーチの店だ。幸い、店に入った時間は昼飯時の一歩手前だったので客はほとんどおらず、ほぼ貸切り状態で快適だった。

従業員は若者中心。恐らく短期のリゾートバイトか何かで出稼ぎに来ているのだろう。店の隅の方ではスケバン刑事IIIの大西結花にそっくりな女がひたすらアイスピックで氷を砕いている。何か怨むものでもあるのかと突っ込みたくなるほど、とにかくとりつかれたように一点を見つめながらただひたすら氷を砕いている。ちょっと物騒だ。

で、時期が真夏ということもあり非常に暑かったので、何となく涼しげな「冷やしそうめん」というものを頼んでみた。そうめんはだいたい冷たくして食べるものなのに、何故わざわざ「冷やし」がついているのか気になるところではあるが。

で、注文からしばらく経つと、「冷やしそうめん」が運ばれてきた。

むむ!!そうめんはザルに載っているわけでもなく、氷に浸っているわけでもなく、冷たいスープの中に入っている。いわゆる「ぶっかけそうめん」ともまた違う。どう言えば良いだろう。普通のたぬきうどんのような状態で、そうめんがスープの中に浮かんでいるのだ。
ただ、そのスープは冷たい。そういうことだ。

私はこの手のそうめんを見たことはなかったが、白浜ではこれがスタンダードなのだろうか。とりあえず、郷に入れば郷に従えということで、その冷やしそうめんを食べた。特に可もなく不可もなく、普通っぽい味。ちなみに具は、刻まれたおあげとネギだ。

で、食べ終わったところで会計を済ませ、席を離れる時に、先ほどの大西結花っぽい女に「ごちそうさまでした」と言った。しかし彼女はやはり何かにとりつかれているためか、単に普通に聞こえてなかっただけなのか、こちらをちらりと見ることもなく、やはり一点を見つめながらただひたすら無言で氷を砕き続けていた。

さすがの私でも彼女にかけられた呪いを解くことはできなかったようで、私は己の無力さをただただ噛み締めるのだった。

つづく
posted by aasa at 09:11| 大阪 | Comment(0) | TrackBack(0) | 冒険 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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