2005年07月12日

放屁の果てに

私は人一倍屁をこく。ただ、勿論こきたくてこいているわけではない。なぜか人より腸にガスが溜まるのだ。体質なのかよくわからないが、出るもんは出る。

中学校の時は、2泊3日の修学旅行中に合計50発以上という未聞の記録を樹立したことがある。何の自慢だ。

高校ぐらいになると、中級技術の「すかし」(いわゆるマナーモード)を体得した。これを体得してからはかなり楽になった記憶があるが、技術が未熟であった中学時代にはよく失敗もした。

そう、中学1年のある日、授業中に屁がしたくなったのだ。もちろん何度か抑えようとトライを試みたが、下腹は言うことを聞かない。次第に窮地に追い詰められる私。

それにしてもこれ以上我慢し続けるのは非常にマズい。私の腸は既に、ごく僅かな刺激でさえ暴発の危険性があったからだ。

…様々な打開策を考えた結果、私は一大決心を固めた。そう、「すかし」だ。苦渋の末の決断だった。うまくいけば腸内に平和が訪れる。しかし、もしこの静かな教室内で少しでも失敗しようものなら、私の学生生活に大きな恥を残すことになってしまうことだろう。

たかだか一発の屁のために不本意に「屁こき虫」というあだ名が付けられ、友人関係が微妙になるどころかそれこそ恋愛なんて夢のまた夢に終わることとなる──。

そうなればまさに世界の終焉だ。
こういった、世界の危機的状況に選択を強いられる主人公という描写は、是非ベン・アフレックやジョニー・デップ主演、モーガン・フリーマン共演で映画化してもらいたい気もする。

と、そんなことはさておき、腸の限界はじわりじわりともうすぐそこまで差し迫っていた。

腸の限界はじわりじわりともうすぐそこまで差し迫っていた。
ヤバい…!

ある意味では、Life CardのCMで人生の分岐点に立ったオダギリジョーが選択肢カードを広げて頭を抱えるシーンに通ずるものがあったが、まあそれはどうでも良い。

しかしさすがにもうタイムリミットだ。私は、もうためらうことなく学生生活の全てを「すかし」に賭けるべく、ついに実践に移した。
神様仏様ご先祖様…!
頼れるもの全てに頼った気がする。…しかし、

「プゥ〜」

一瞬、教室内が不気味な空気に包まれた。むしろここでは空気というより屁と表現した方が適切か。

ともかく、しまった。失敗だ‥。一瞬「じつはこの音は自分ひとりにだけ聞こえたのであって、他の誰にも聞こえていない」という幻想というか半分願望のようなものを信じてみたくなったが、改めて冷静に事態を分析してみるとどうやら現実であることには間違いなさそうだ。
つまり、この状況下においてはさすがに誤魔化しきれない…

案の定、次の瞬間教室はざわめき出し、男子女子問わず軽蔑の眼差しが一斉に私のあたりへと向けられる。まるでSWATに包囲された犯人の心境だ。

最悪だ。マズい。非常にマズい。

と、その時、ある妙案が私の頭をよぎった。私の後ろにはS川君がいる。そうだ、S川がしたことにしよう!

S川は身体が大きく、その風貌から「ゴリラ」というあだ名がついており、少々女たらし癖のあるお調子者的キャラであった。彼がやったことにすれば、みんな違和感なく彼の犯行であると信じ込むに違いない。私は確信した。

「おいやめろやS川〜」

私は早速、後ろに振り返りS川をやじった。屁の音が出た瞬間からこのアクションまでわずが2〜3秒だったと思う。我ながら絶好のタイミングだ。
ただ正直、罪悪感もあった。だがそれよりは後でこっそり謝って許してもらおうという、都合良く正当化したいという気持ちの方が強かった。

当然、キョドるS川。
「えぇっ?俺ぇ?」

無理もない。彼には罪はもちろん、疑われる理由などといったものは何一つないのだ。ただあるとすれば、前回の席替えで運悪く私の真後ろの席になってしまったことであろうか…。

しかしみんながS川の方を怪訝な表情で見ている。正直、もちろんこのうちの何人かには私がやったことはバレバレなのだろうが、ひとまず大恥をかかずに済んだという点では作戦成功だ。

しかしながら、S川君に赤っ恥の濡衣を着せてしまったことはやっぱり反省している。もう十数年経つが、あの時は本当にごめんなさい、S川君。と、懺悔をしたところで今回の日記を終わる。
posted by aasa at 02:08| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 回顧録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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