2006年03月26日

通りすがり

 先日、近所のDVDレンタルショップに行き、帰りの道をトボトボと一人で歩いていた。時刻はたしか17時前くらいの夕方頃。春が近づいてきたということもあって、まだ明るい。

 横断歩道を渡り、居酒屋のそばに近づいた。居酒屋はこれから営業を始めるらしく、バイト店員とおぼしき女の子が店の出入り口の上に暖簾(のれん)を掛けようとしているではないか。女の子は背が低いため、暖簾をうまく掛けられず、上を向いて手を伸ばした状態で「届かへ〜ん」と嘆いていた。

 店の前を通りがかっていた私は、反射的に「これは手伝わねば」と考え、体を店のほうに向け、一、二歩、店に近付いた。そう、ここでサッと暖簾を掛けてサッと立ち去ることができれば私は男前。女店員は私に上目遣い・羨望の眼差しになるに違いない。さらに「せめてお名前だけでも」と言う店員に低い声で「いえ、名乗るほどの者でもありませんよ」とだけ残して立ち去れば、これはもう、完璧な展開である。

 が、よく見ると、店の中にもう一人女の店員がいることが判明した。マズい、これはもしかしたら女二人でなんとか間に合うかもしれない。そうなれば、用もないくせに店に近付いた私は彼女らに不審者と勘違いされかねないではないか。

 それにどうだ、そもそも暖簾をかけるのは店員の仕事だ。暖簾を掛けて給料をもらうのだ。通りすがりで全く無関係の私が営利企業の業務を手伝うというのは何のボランティアだ。

 微妙に自分を正当化してしまった私は、店のほうに近付けていた足と体を本来の進行方向にくるりと戻し、何事もなかったかのように再び家に向かって歩き始めた。

 そこから10歩ぐらい歩いた頃だろうか、私は「あ…、やっぱり手伝っておかばよかったかな…」という後悔の念に襲われ始めた。それもそうだ、私は、一直線に歩いている途中で店に立ち寄ると見せかけてまた戻ったのである。傍から見れば非常に不自然な行動だったに違いない。
 
 店の中にいた店員も7割ぐらいの確率で私のその行動に気が付いていただろう。「うちの店の前で変な行動をしているオッサンがいた。ストーカー?勘弁してよ」と言われているかもしれない。「手伝うんなら手伝ってくれればよかったのに、中途半端な行動とってマジダサい」と言われているかもしれない。

 そういった、多分あまりしなくてもいい被害妄想にさいなまれつつ、ふと道路の向こう側に目をやると、そこのバス停に座っていたおばあちゃんがずっとこちらを見ていたことが判明した。

 男前への道のりは思ったより険しいもんだなぁと感じたところで、今回の日記を終わる。
posted by aasa at 11:03| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | いわゆる日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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